僕はビンボーゆすりひどいんですよ。
元々僕が机に座っていると、“地震が起こる”って。僕は気づいてなかったんだけど、みんなに言われていて、それをこっそりと撮影したやつがいて、それをカヤック10周年にあたってうまく活用しようというところがこのプロジェクトの発端。今年の初めです。
地震が起こる…?
気づいてないんですか?
気づいてないですね。集中してると…ほんとに気づいてない。笑
もうほんとにひどいらしいですいね。
こーいうタイプ横揺れタイプ…。
社員に地震とか言われる。笑
それは揺すりじゃない、既に、揺らし。
貧乏揺らし!笑
で、あまりにひどいんで社員が年始にハッピーバイブレーションというビンボーゆすりの動力を使った 企画を考えてきたんですよね。そのときに調べたら、ちょっとした震動を電力に変える技術をもっている会社があって。
貧乏ゆすりパワーで発電して、エコ企業になる!!」というアイデア。
カヤックが10年間使ってきた電力に「ありがとう」の気持ちを込めて、貧乏ゆすりで発電して、 そのエネルギーを使ってライトアップするなど地域のイベントを開催、
地域貢献企業&エコ企業として売っていこうという構想。
- 詳しくは開発ブログ 2008年1月 5日 (土) 第1回 貧乏ゆすりパワーで発電して、エコ企業を目指せ!! にて
音力発電さん…ですよね。
はい、現在はもうエコな視点はなくなりましたが(笑)
企画を詰めるなかで6月頃、このプロダクトのコンセプトは「貧乏ゆすり」>「エコ」に。
「ムダをポジティブに使う、見せる」という観点を重用視し、「エコ」がプロダクトのアイデアや方向性の幅を狭めるようであれば、思い切って「エコ」のコンセプトは切り捨てた方がいいという方向へシフト。
- 詳しくは開発ブログ 2008年6月 6日 (金) 第10回 BBUプロジェクト企画書とあついスカイプ会議 にて!
ビンボーゆすりの動力を使ってプロダクトを作ってもらうにあたって、誰がいいかって。デザイナーという意味ではカヤックにはウェブデザイナーしかいなかったし。これを機会に以前から尊敬していた明和電機さんがいい!って。
(ニッコリ)
もしやってもらえれば最高のプロジェクトになる。
ちょっと、ダメもとでぶつけてみようとメールしました。
要約すると…まさかやってもらえたりしちゃったりとか…、しちゃったりしてー…みたいなメールでしたよね(笑)
はい(笑)。ほかとコラボというのは、どのぐらいやられてるのか、わからなかったんで、そういう意味もあってダメもとで。
キターっ!て感じでしたね、アホらしさが…(笑)
私はお題を外から頂戴したプロダクトのデザインは初めてなんですよ、
これは面白いなとは思いましたね。はい。
ほんとによかった!すごいラッキーでした。
ビンボーゆすりを使ったプロダクトというのは、まあ、作ろうって思う人は世界には何人かいる…いるでしょね…、ただ、それを3000個も作って本気で売ろうって会社はないでしょうね、すごいと思いました。5年先をいってる(笑)
最初のブレストの時、その場で土佐社長がぽんぽんアイデア出されていたから、これはほんと楽しいプロジェクトになりそうだなと思いました。
そして、ウェブのことすごく詳しかったので、そこはちょっと意外でしたね。
明和のおもちゃも、第二世代というか、ただ機械が動くスタンドアロンじゃなくて、USBで動くおもちゃを使い始めていて、電力をただパソコンからもらうだけなんですけど、その次にいきたいというのがあって、まあ、ノックマン、電動ノックマン、パソコンで打ち込みをするノックマンみたいなプランを前から考えていたので、そのハードルは越えてみたいというのもありましたね。
タイミングがよかった!
カヤックではウェブならたいていのものはつくれますが、今年はデバイス系のことをいくつかやっていて、ウェブだけで完結しない領域にチャレンジしていきたかったんです。年始にはチューヤンというロボットネズミをWEBから遠隔操作するゲームをつくって、最近では、植物ブログや閃光会議室というものを作りました。
そもそも、その、パソコンで音楽があの、ノックをしてといいように、明和電機のライブというのは、デジタルとアナログをくっつけて、ずっとやってたので。その面白さはほんと、絶対、太鼓判を自分で押せるな、と。
ああ、一緒に、明和電機さんと仕事ができたっていうのが、ほんとに“ありがとうございます”って思ってたんで。とにかく形になれば、嬉しいなって思います。
ビンボーゆすり、土佐社長はされるんですか。
朝揺れてることが、多いかな。
朝!何揺れですか。
寝起きのときにたぶん考えてるんですよね。
(笑)ビンボーゆすりっていうのがね、何で悪いものなのかどうかっていうのを。調べたら、そんなに由来がないですよね。なんで悪いものとされてきたんだろう。
それはあの、思ったんですけど、日本人は、ビンボーゆすりっていいますよね。海外では貧乏とは、そこまで悪く言わない。むしろ、もしくは精神的に神経質だとか、そういう意味のニュアンスなんですけど、思ったのは…正座文化のせいじゃないかと思って。
うんうんうん。
正座してるとビンボーゆすりしにくい。それをこう…西洋文明が入っていて、椅子がガクガク揺れた時に…なんだお前はー!と
それで悪いものとされたんだ。
ではないかと。想像です。笑
世界でもビンボーゆすりはあるけれど、固有名詞がないんですよね。貧乏とはなんぞやみたいな。貧乏は悪いことなのか? もともとの起源は借金取りが足を揺らしてたみたいなのと、もう二説くらいあった。実際、ビンボーゆすりで貧乏になった人はいるのか…。女性はしないですよね?
あっそう。僕が考えた説だけどなぜ男だけががビンボーゆすりをするか、これね−、精子からきてると思うんですよ。卵子は振動しないけど、精子はもう。尻尾ぶるぶる振るわせてる。最初からそうだからだと思うんですよね。女性は小刻みではなく、妊娠や出産のようなもっと大きい人生をかけた揺すりがある。
女性はしないのかなやっぱり。笑
まあ、とにかく、無駄なものとされているわけですよね。ビンボーゆすりは。でも、それをいったいどのくらい自分はやってるんだろうか、というのを純粋にカウントしてみたい、という興味、、はやっぱりありますよね。
ビンボーゆすり永久カウント!ありましたねぇその話。
7月頃の話。土佐社長がたくさんのスケッチの束から1枚の紙を取り出した。
「一生で何回貧乏ゆすりをするか考えてみました。」
「1分間に400回を1日8時間ずつやるとした場合、人生70年で48億3840万回・・・、
つまりは10桁あれば一生分の貧乏ゆすりをカウントできます。」
- 詳しくは開発ブログ 2008年7月14日 (月) 第16回 BBUは10桁で生涯安心サポート にて!
それが今回、累計はリセットできないという機能になって、そっから先は一人一人に固有の震動となって…話がどんどん変わっちゃって進化してるから。笑
えーっと、まあ、振動。振動で世界(外)からの情報を入れるために、眼球とか、猛スピードで、振動してるし、膜も振動することによって、外の音を聞いてたりするので。
その辺からこのプロダクトも、固有の振動みたいなのを検知できるようにみたいな話になっていきましたね。前半はもう、… …パオーって言ってましたからね。モーー!って。
ビンボーゆすりカウントのオモチャの頃ですね、膝小僧にフットモーモーですね。
それはそれで、可愛かったけどね。すごくストイックな方向になったから。
で、そっから始まって、で、えっとーそっから、最初のパオーとか、考えてるときで、そこはおもちゃとしての楽しさだったんです。
ただでも、最初のころ一回今の形に近いアイデアでてるんですよね、そのときは不採用だったんですが、これはないと思ったんですか?
ストイックすぎるかなって。カワイイ方が売れるんじゃ…?と(笑)
ただやっていくうちに、これはやっぱり、カヤックさんやっぱりネットだなあっと思って。そこを切るのは、惜しい! という。アナログ、ゼンマイ式のアイデアからデジタル、ネットに接続にしようって。
なるほどね。それが7月くらいか、YUREX™(ユレックス)という名前に決まるかくらい。
すごい歴史があるんだなーこれ。
このプロジェクトにはこの頃からホンシツの斉藤さんも入ってくれて、またすごく面白くなりましたね。
8月になり、運と縁とタイミングで「ホンシツ株式会社」の斉藤賢司さんがプロジェクトに参加。
予算もあまりないなか、ご厚意に甘えました。どこまでもラッキーです。
- 詳しくは開発ブログ 2008年8月16日 (土) 第23回 「ホンシツ」の斉藤賢司さんもプロジェクトに参加! にて!
でそこからなんか、ブランディングとか、かっこよさも加わり。
一度コンセプトをみなおして固めるって作業をしましたね。
そこと筐体のデザインが決まって行くのがほぼ同時で最初の山場でしたね。
8月前半。これまでの議論をふまえて、プロダクトの最終デザイン、カラーや細かい液晶デザインを決定。
プロダクトのデザイン一式を一気に決めようということで打ち合わせが開催された。
カッターと金尺とカッターマット。三角スケール、みんなで手を動かして5時間に及ぶ打ち合わせ。メンバーは日曜日の夜の終電を逃す。
- 詳しくは開発ブログ 2008年8月 9日 (土)第21回 デザインの最終検討大会議!! にて!
はい。
太ももにつけて、揺すれば左右のミラーボールが揺れますね。横タイプの揺れも縦タイプの揺れもOKです。
PCとUSBでつなげば、その人に固有の震動を取り出し、それを使ってクリエイティブを促進、集中状態を作れるという。
で、こっからさらにいま、また、旅立とうとしてる!
無意識ユレックス理論。
もうかなり昇華されてますね。
8月頃後半、YUREX™のコンセプトの再確認。貧乏揺すりのこのプロダクトは
「あえて踏む?」のか、「無意識に踏む?」のか、全体の表現コンセプトとサイトの考え方を決定づける2つの選択。
- 詳しくは開発ブログ 2008年8月22日 (金)第24回 YUREX™サイコー?再考? にて!
で、ここまで来たときに、もはやビンボーゆすりとは、
もう…何なのかっていう(笑)
ビンボーゆすり、YUREX™では「無意識の振動を意識の感動に変える」っていうのが、やっぱり、いいなと。
ホムンクルスとか、漫画でいうと、ジョジョのスタンドなんですよね。
スタンドなんだ、ひとつの。その人の、その人の持ってるものが背後霊じゃないけど、その先にあるってことだ。
僕は意識はしてないんだけど…精神状態が超高速のシーソーで安定させているというか、
あっちでガーって下がって、こっちきてもガーっと下がっちゃうんだけど、それを、あっちいったりこっちいったりする中で、
すごい高速でゆれることで安定させてると。
自分だけのインナービートですね。無意識化の違う世界にいって、パラレルワールドで閃きまくっているという(笑)
はい。これまで、カヤックがてがけてきたサービスでアイデアやブレストを
支援するサービスがあって、今後もそこは続けて行きたいと思っていたところで、
今回製品の特徴が絞られていくなかで自然とアイデア促進という方向になっていきましたね。ビンボーゆすりで自分に固有のクリエイティブビートを測る、見れる、操れるという。
エコ…微塵ものこってない(笑)
まあ、何にせよ見たことがないものであることは間違いないですよね。
10月末についに全体が決定。
BBUプロジェクトとは 明和電機が提唱する「BBU概論」に基づき、目に見えないBBUのクリエイティブパワーを顕在化、クリエイティブを促進・活用する装置、YUREX™の開発プロジェクトだった。
- 詳しくは開発ブログ 第35回 カヤックからの中間大報告会!! にて!
(笑)リチャードハミルトンっていう作家が『笑う評論家』っていうアートを作ってるんですけど、70年代。デンター歯ブラシの先に入れ歯がついてて、カタカタカタっていうだけなんですけど、それ、大学のときにフィルムでみて、馬鹿だなあと。CMもつくってました。
それに匹敵する、着地点のなさがいいですね。あ、いや違う違う、立ち位置のなさ!
これまでにはマーケットないですからね。
これから作る、できる。どんな人か…
無さがいいんですよ。立ち位置がないっていうのが、一番宣伝になりますよ。
そうか、なるほど。
とにかく楽しいし、これからまだパッケージやアプリの開発と、まだまだいろいろあるけど楽しみです!
5年は誰も追いつけない、すごいプロダクトです。